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2019年5月28日 (火)

ホタルの発光で癌を見つける 《バイオニクス専攻/たか》

こんにちは。バイオニクス専攻のたかです。

新年度が始まってから、早いもので1ヶ月経ちました。
杉花粉からの攻撃が終わり、ようやくマスクを必要としない平和な季節がやって来ましたね。
しかし、某ハム球団の勝率は平和ではありませんね。先行きが少し不安。令和からは打線が爆発してほしいです。

話がだいぶ脱線しましたが、前回のBLOGでも言っていた通り、今回は本研究室でやっている研究について紹介したいと思います。
本研究室で、遂行している研究テーマは複数ありますが、今回は私が関わる研究について。
本研究では、癌などの疾患を簡単に検出することを目指して、バイオセンサーの開発を進めています。

では、どのように癌を検出するのか。まず本研究で着目した癌の指標がDNAメチル化です。
DNAメチル化とは、遺伝子発現の制御に関連するDNA修飾のことを言います。
遺伝子には作用するかしないかを決めるスイッチのような領域(プロモーター)がありますが、このスイッチが高度にメチル化されていると遺伝子スイッチはOFFになり、働かなくなるというわけです。

ヒトは生存に必要な遺伝子を約2万8000個持っているとされています。このうち、どの遺伝子のスイッチがON又はOFFになるか、このON/OFFのパターンによって、心臓や脳、筋肉など異なる機能を持った組織になっていきます。
ですが、ONになるべき遺伝子が高度にメチル化されて機能しなかったり、逆に機能してほしくない遺伝子が出てきてしまったり、といったDNAメチル化異常が生じてしまうと細胞は癌化する可能性が高くなります。
実際に、癌細胞では多くの癌抑制遺伝子がメチル化異常で不活化されることが知られています。ゆえにDNAメチル化は癌を診断する上での指標として期待されます。

これだけDNAメチル化について述べたわけですから、DNAメチル化を検出するのだな?という感じですが、私が検出する癌の目印分子はメチル化ではないのです。
私が焦点を当てたのは「DNAヘミメチル化」です。名前の通り、半分メチル化されたDNAのことです。
DNAは通常は2重らせん構造を組んでいるので、上記したDNAメチル化状態では2本鎖の両鎖ともメチル化されています。一方でヘミメチル化DNAは2本鎖の片鎖のみがメチル化されている状態のことを指します。
このヘミメチル化DNAは腎腫瘍や卵巣癌において多く存在していることがわかっています。なので、ヘミメチル化DNAも癌の目印分子として期待できます。本研究では、このヘミメチル化DNA検出法の開発を試みました。

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ヘミメチル化DNAに結合するタンパク質とホタルの持つ光るタンパク質を組み合わせた融合蛋白質を人工的に作製し、光でヘミメチル化DNAを検出することにしました。
この方法は標的DNAと人工融合蛋白質、DNAに結合する蛍光物質を混合するだけの簡単な方法で、ヘミメチル化部位があるとホタルの発光によってDNA結合蛍光物質が光ります。逆にヘミメチル化部位がないと蛍光分子の光が示されないということですね。

従来法は化学処理などの煩雑な操作や過程、大型な精密機器を必要とするのに対し、本手法は試薬を混合して光を見るだけの簡単な測定法です。光を見るだけならば、お医者さんに診断してもらわなくても、自宅で個人的に出来そうですね。
将来的にはスマートフォンのカメラを利用して、光を検出すれば在宅型の癌診断が可能になると期待しています。そうすれば、予防診断として気軽に診断できますし、癌の超早期発見にも繋がると考えています。

本研究は学部3年生の時から約2年間実施し、昨年11月頃に論文として海外雑誌で発表できました。
私が修士1年の頃に執筆を始め、受理されるまで非常に辛い毎日でしたが、英語での表現力や科学的知識を高度に身につけられた良い機会でした。

さて、今回はDNAメチル化、ヘミメチル化についてお話ししましたが、DNAはメチル化以外にもあらゆる修飾が存在し、遺伝子発現の制御や細胞死などに関連しています。本研究では、そんな他のDNA修飾も同様に検出する研究も遂行中です。

だいぶ長文になってしまいましたが、今回はこれくらいで。
次回もよろしくお願いします!

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2019年5月22日 (水)

脳の仕組みを解き明かす!《コンピュータサイエンス専攻/スイミー》

お久しぶりです!

大学院ブログのCS専攻担当
スイミーです。

今回は私が取り組んでいる研究について紹介します!

私が現在取り組んでいるのは
『脳波』
に関する研究です。

所属している研究室の名前自体が『ブレインコンピューティング研究室』というキラキラしたネームとなっており、主に脳情報処理の仕組みの解明に取り組んでいます。

この研究を始めたのはTVで茂木健一郎さんが出ている番組を見たことがきっかけです。
そこでデジタルに表現された脳ネットワークや、脳の神秘について語る脳科学者の姿を見て、かっこいいな、自分もそんな研究者になりたいな、と感じました。

人間の脳内でどのような処理が行われているのか、生物の意識というのがどのように発生しているのか、そんなことを考えるだけでワクワクしませんか?

脳科学の研究の面白さはそのようなところにあると感じます。
実験で得られた結果から脳内処理の仕組みを考え、少しずつ『脳』を解き明かしていく。これは人間の真理(心理)探究に他なりません!

そんな『脳』の研究ですが、やはり大変なことも多々あります。
それは実験機材で精確に脳波を測定することが難しいということです。
体動、腕の曲げ伸ばし、まばたきなど、計測時にはノイズが発生する要因がたくさんあります。

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それらが多く含まれたデータから解析処理を行っていくのですが、ここでもまた問題があります。皆さん、どれくらいのデータを処理すると思いますか? 100個、1万個?

実験タスクによっては脳波を10秒程度計っただけでも、64万個以上のデータが生まれる可能性があります。
本当にびっくりですよね! エクセルでデータを開くとスクロールバーが見えなくなってしまい、データ量の果てしなさに意識が遠のいてしまいそうです。
ですが、それらの処理をどう適切に行っていくのか考え、実行していくことこそが研究でもあります。

また、脳を調べていくうえで、研究の成果が実際に現実世界で役立っていることもあります。
世の中には筋萎縮性側索硬化症(ALS)という病気があります。
全身の筋肉が硬直してしまい,最後には寝たきり状態になってしまう病気です。
しかし、思考に関しては健常者と同様です。
そのため、読み取った脳波を解析し、現実世界にアウトプットすることで、ALS患者の意思表示を補助することができます。

人間が生きている中で見えはしないが最も近くにある神秘について、あなたも一緒に研究してみませんか?

次回のブログもお楽しみに!

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2019年5月14日 (火)

自己紹介 《サステイナブル工学専攻/岬》

こんにちは!
これから1年間ブログを書かせていただくことになりました
工学研究科サステイナブル工学専攻の修士1年生の岬です!!

まずは簡単な自己紹介でも…
東京工科大学から内部進学をして本大学院へと来た私は
学部生の時から引き続いて高分子や光機能に携わる研究室に所属しています。

大学院へと進学するにあたって他大学への受験も検討しましたが
学部生の時に研究していた内容の原理の解明、基礎研究をしてみたい、
1年間の研究で学んだことを生かして発展的な研究を行いたいという考えから
他大学で新たな研究を始めるのではなく、
現在の研究の続きを行うために本大学院への進学を決意しました。

他大学にはない充実した測定装置や研究設備も決め手の一つであったりしましたが、
その詳細はまた別の機会にでも紹介できればと思います。

…そんな私は現在念願の一人暮らしを満喫しています!!

研究室のメンバーと夜遅くまで家で集まったり、
社会人になった友人や他大学院へと進学した人達と集まったりと、
なんとなく都合の良い溜まり場になりつつあるのですが、
もともと別の大学へ行っていた友人と会った際によく聞かれることがあります。
「ところで今何の勉強をしているの?」と。

『工学研究科サステイナブル工学専攻』
…ぱっと聞いただけだと何をする研究科なのか分かりにくいですよね(ㅎ-ㅎ;)笑

工学研究科は様々な大学院でよくみる名前だと思いますが
サステイナブル工学専攻だなんて、
世界中を探しても本大学にしかないまったく新しい専攻になります。

サステイナブルとは持続可能な社会のことを言います。

サステイナブル工学専攻では持続的に成長・発展する社会を実現するために、
工学の分野(機械工学科、電気電子科、応用化学科を利用し、
世界の最前線にある工学研究を実施しています。

つまり、今後の地球の未来を担う大事な勉強をしているとも言えますね!!
サステイナブルについて全てをここで語るのは難しいものがあるので、
時間のある人は本大学のHPやブログを見てみてください!)

最近電車の広告等で「サステイナブル」という単語を見るようになってきました。
それだけ世間で注目を浴び認知されるようになってきたってことかな。
サステイナブルについて逐一人に説明をしなくてもよくなる日は近いかも…?笑

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2019年5月 7日 (火)

はじめまして 《バイオニクス専攻/たか》

はじめまして。
この度、大学院生BLOGを書くことになりましたバイオニクス専攻のたかと申します。

今回を合わせて全10回このBLOGを担当させていただきます。
その中で、バイオニクス専攻で行なっている研究や講義などを紹介していく予定です。
うまく紹介できるかわかりませんが、お付き合いください。よろしくお願いします!!

さて、第1回目ということで自己紹介をさせてください。
私は大学進学のために北の国から上京してきました。
もう東京に住み始めて6年目になりますので、ほぼ方言は抜けてしまいました。
最近は朝ドラで方言を勉強しなおしています。

私は、この東京工科大学応用生物学部で学士の学位を取得し、先月修士課程を修了したばかりです。
4月からは博士課程1年として先生指導の下、日々研究活動に励んでいます。

私は大学入学当初から、生命科学分野の専門的な知識・技術を深く学びたいという気持ちがあり、大学院進学を希望していました。
元々は他大学院に進学しようと考えていたのですが、学部2年のときに本大学に新たな制度が設立されて、本大学院に内部進学することを決断しました。

その制度は「学士・修士一貫早期修了プログラム」です。
このプログラムは、通常、学士・修士課程合わせて6年かかるところを、3.5年+1.5年の5年間で修士課程を修了するという制度です。

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短期間で修了出来ることにもメリットはありますが、内部進学者は入学検定料や大学院の入学金が免除であることに加え、半年に10万円の給付型奨学金や授業料の25%減免などの経済的な支援に充実しています。
そのため、ほぼ国立大学院と同等の授業料で大学院に通えます。お得ですね。

ですが、そのスケジュールは超ハードです。
学部3年生から授業と並行しながら、卒業研究を進め、卒業論文を書かなければなりません。
修士課程に入ってからも、約半年後に修士論文の中間審査会があるため、研究成果を出さなければならないというプレッシャーに常に追われます。

また学部を早期卒業し、大学院に入学するので、結果的に1つ上の先輩と同級生になります。
つまり、同期は自分より1年長く研究しており、技術も知識もその分だけ優れているといえます。
そのなかを競い合っていかなければなりません。大変です。

でもその分、好きな研究に没頭でき、充実した研究生活を過ごすことができました。
なので、学部生のときから研究したい!専門的知識を短期間で学びたい!という学生におすすめです。
ただし、大事なので再度言いますが、超ハードなスケジュールです。

そんな充実した研究生活を過ごしている私ですが、まだその研究内容について紹介していませんでしたね。うっかり。

バイオニクス専攻では生命科学や医薬品、食品、化粧品、環境の各分野で幅広く研究が行われています。
そのため、生命科学分野と環境分野の研究室が共同研究するなど、分野間の垣根を超えた様々な研究を行うことが可能です。楽しいですね。

また、本学には最先端の研究装置が並ぶバイオ・ナノテクセンターがあり、研究設備が充実しており、私たちの研究活動の幅を広げさせてくれます。そのうちBLOGでもナノテクセンターの機器を紹介しますね。

私は現在、生命科学分野の研究室に所属し、主に疾患などを検出するバイオセンサーの開発に関する研究を実施しています。
詳細な研究内容はまた次回。次の紹介で、本研究室の活動に興味を持ってもらえたらなあ、と思います。

PS
新年度になって、新4年生が研究室に入り、新体制になりました。
ついでに机の配置も変えて模様替えもしました。新しい気持ちで頑張っていきましょう!

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